漢方薬療法とは

中国伝統医学を基に日本で発展した東洋医学の治療法です。
自然由来の生薬(しょうやく)を組み合わせた「漢方薬」を用いて、心身のバランスを整えることを目的としています。体の持つ「自己回復力」を高め、バランスを整えることで改善を図ります。
化学合成薬に比べると副作用が出にくいとされておりますが、体質に合わないと逆効果になる場合もあります。
漢方薬が使用される主な症状
- 冷え性
- 肩こり
- 疲労感
- 月経不順、更年期障害
- アレルギー性鼻炎
- 花粉症
- 不眠症
- 胃腸虚弱
- 便秘
整形外科と漢方薬
葛根湯(かっこんとう)
風邪薬としてよく知られる漢方薬ですが、身体を温め、血行を促進する作用があるため、肩こりの改善にも用いられます。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
疲れやすく、汗をかきやすい体質の方に用いられる漢方薬です。
むくみや多汗、肥満に伴う関節の腫れや痛みに効果があり、特に水太りタイプの肥満症に適しています。
また、変形性膝関節症における膝の水を減らし、膝の痛みをやわらげる作用もあります。
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
関節に熱感をともなう腫れや痛み、関節液のたまりが見られる場合に用いられる漢方薬です。
関節炎をはじめとした、炎症による関節の腫脹や痛みに効果が期待されます。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
芍薬と甘草の配合により、鎮痙・鎮静作用を持つ漢方薬です。
こむら返り(筋けいれん)に即効性があり、頓服での使用が基本とされています。
そのほか、急性腰痛、下肢の痛み、月経痛、腹痛、胃痙攣などの急な痛みにも用いられます。
ただし、長期使用では甘草に含まれるグリチルリチンの影響で偽性アルドステロン症(浮腫、低カリウム血症、高血圧など)が起こることがあるため、注意が必要です。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
身体の冷えている部分を温め、余分な水分を取り除くことで、痛みやしびれを改善する漢方薬です。
特に、腰から下肢にかけての冷えによって悪化する筋肉痛・関節痛・神経痛・腰痛など、慢性的な痛みに用いられます。
二朮湯(にじゅつとう)
肩や上腕に痛みを伴う肩関節周囲炎(いわゆる五十肩・四十肩)に用いられる漢方薬です。
治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)
血流を促進し、炎症を抑える作用がある漢方薬で、打撲や捻挫による腫れや痛みの改善に用いられます。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
主に高齢者の手足や腰の冷え・痛み、変形性膝関節症(熱感や水腫のないタイプ)に用いられる漢方薬です。
冷えや水分代謝の滞りを改善する生薬が含まれており、排尿困難、頻尿、むくみ、加齢によるかすみ目などにも効果が期待されます。
もともとある「八味地黄丸」に、血や水の流れを整える2つの生薬(牛膝・車前子)を加えた処方です。