小児整形外科とは

小児整形外科は、新生児を含む子どもを対象とした小児専門の整形外科です。
子どもは大人を小さくした存在ではなく、ヒトとしての発達途上にあり、日々、急速な成長を遂げています。
小児整形外科では、こうした特殊な身体状況にある子どもの病気やけがを、成長過程をよく踏まえながら治療し、後遺症などが残らないように配慮いたします。
お子様の骨折や打撲、捻挫などを診療
子どもに特有の疾患は、一般整形外科ではなく、小児整形外科に詳しい専門医が診療したほうが好ましいケースが少なくありません。
お子様が骨折や打撲、捻挫などのけがを負ったときをはじめ、O脚・X脚、先天性股関節脱臼、オスグッド病、成長痛など整形外科領域の疾患がみられましたら、また何か身体で気になることが出てきましたら、なんでもお気軽にご相談ください。
平成28年(2016年)度より開始された運動器検診に関し、検診の趣旨に賛同し、事後措置としての整形外科受診に協力しております。
主な小児整形外科領域の疾患
環軸関節回旋位固定
環軸関節回旋位固定は、外傷の他、風邪などの感染症による上気道の炎症によって起こります。
また、先天性の骨の変形が原因となる場合もあります。
主な治療方法は、カラーで首を固定し、なるべく仰向けで寝て安静にすることです。
数日から1週間程度で治る場合がほとんどですが、痛みが強く仰向けで寝ることができない、改善傾向が見えない場合は、頚椎持続牽引を行うこともあります。
単純性股関節炎
単純性股関節炎は、股関節に痛みを生じる疾患です。
2~10歳頃の小児に発症することが多く、特に多いのが5歳前後とされています。
また、女の子よりも男の子に多くみられます。
安静を基本とした保存療法を行い、スポーツなどの運動は避けるよう指導を行います。
痛みが強い場合には鎮痛剤や湿布を処方することもあります。
手術などの特別な治療は必要なく、数日から3週間程度で症状の改善がみられる場合がほとんどです。
O脚
がに股のような状態ですが、2歳くらいまでは多くの子どもが軽いO脚です(生理的O脚)。しかし、成長とともに自然に矯正されるため、ほとんどは心配いりません。
ただ、歩き始めた頃にO脚が目立つようなら、それはクル病のせいかも知れませんので、一度受診なさってください。
X脚
両膝が内側に弯曲した状態で、左右の膝の内側をそろえても、左右の内くるぶしが接しない状態です。両足のくるぶしの間が開いて両脚がアルファベットの「X」に見えます。
通常は2歳頃からX脚となり、7歳頃には成人の脚になってきますので、7歳以降のX脚には注意が必要です。
先天性内反足
生まれた時から足が内向きに捻れるように変形している状態です。放っておくと普通に歩行することが困難になりますので、早期から矯正ギプスなどによる治療を始めることが大切です。
側弯症
背骨(脊柱)が左右に弯曲した状態になる病気です。曲がりの程度がひどいようなら、治療が必要です。小学校高学年から中学校くらいの女子によく見られます。
先天性股関節脱臼
先天的に股関節が不安定で、そこに何かしらの原因が加わって股関節が外れたり、ずれたりして脱臼を起こした状態です。女児に多く見られます(男児の約10倍)。足を動かした時にポキポキ鳴るとか、歩き始めが遅く、足を引きずるようにしている場合などは、脱臼の疑いがあります。足の長さに左右差があれば、注意が必要です。
ペルテス病
大腿骨の骨頭と呼ばれる箇所の血行が悪くなり、一時的に壊死をきたす疾患です。3~6歳くらいの男児によく見られます。壊死部が正常に回復するまで、装具などを用いて治療します。
オスグッド病
脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出してきて、痛がります。赤く腫れたり、熱を持ったりもします。休めば痛みは消えますが、スポーツを始めると再発します。発育期のスポーツ少年・少女に多く見られます。
成長痛
夕方から夜の時間帯に主として膝の周囲を痛がりますが、朝になるとけろっとして痛みを訴えません。痛みの原因はよくわかっていませんが、夜間だけであれば、心配いらないでしょう。ただし昼間も痛がる、歩き方がおかしい、次第に痛みが強くなる、といった場合は注意が必要です。
若木骨折
まだ骨の軟らかい子どもに多い骨折で、ポキリと折れずに、千歳飴が曲がったような状態になります。手首の骨折によく見受けられます。外から見て手が曲がってしまっていても、触らなければあまり痛がらないことも多いため、小さい子どもでは特に注意が必要です。骨端線(骨が成長する時に伸びる箇所)の部分を骨折で損傷すると、骨の成長が止まったり、変形をきたしたりすることがあるので、注意が必要です。